ズームレンズは基本のかたちがふたつ
 ズームレンズは、ズーミングによって連続的に焦点距離が変えられへ画角を変化させることができる。しかも同時にピント位置は変動しないという性格をもつ。これは、ズームレンズの原理が、焦点距離を変えるための変倍レンズと、ピント位置を補正するための補正レンズとが適当に動くような仕組みをもっているところからくる。そして、このピント位置の補正の仕方で、機械補正型(メカニカルコンベンセーションタイプ)光学補正型(オプチカルコンペンセーションタイプ)の2種類がある。機械補正型は、ほとんどのズームレンズに採用されているもので、変倍系レンズと補正系レンズをカムによってそれぞれ別々に動かし強制的にピントずれを補正する方式だ。この方式は機構が複雑だが、マクロ機構の組み込みが簡単で、大口径レンズの設計も可能という特徴がある。この機械補正型には、さらに4群型ズームレンズ2群型ズームレンズの2種がある。4群ズームは、レンズ構成の第1群が焦点調節をするフオーカス系、第2群が焦点距離を変える変倍系、第3群が変倍系の動きによって生じるピントずれを補正しながら動く補正系、第4群が内に絞りをもち結像を行なう固定されたリレー系、という4つの群をもっている。ズーミングの時に動くのは変倍系と補正系だ。この4群方式は大きいズーム比(最短焦点距稚と最長焦点距離の比)が得られやすいので、大部分の望遠ズームに用いられている。一方、2群ズ−ムは、1群がフォーカス系と変倍系の役割をもち全体として凹レンズの働きをするレンズ群、第2群が1群の移動に連動してピントずれを補い凸レンズの働きをもつ補正系になっている。この2群ズームは4群ズームに比ベ、レンズがコンパクにでき、樽型歪曲収差も少ないので広角ズームや標準ズ−ムで高性能を発揮する。さて、もうひとつの光学補正型は、機械補正型が2組のレンズ群を別々に動かすのに対して、第1群と3群が一体となった1組のレンズ系を前後させるだけでズ−ミングとピント補正を一度にするという方式だ。カムを用いず、レンズ設計上でピントずれを深度内に納めてあるので、構造が非常にシンプルになる。なおズーミング方式には、機械補正型の場合ズーミングリングの回転によってカムを動かす回転式(回転ズーム)と、直線的にスライドしてカムを動かす直進式(直進ズーム)とがある。光学補正型は機構が簡単なので直進式が使われている。






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