屈折、分散、反射、回折、という光の現象
1.屈折
 真空中や空気中を進む光が、ガラスとか水などの媒質に入射したり、射出するとき、その境界面で進行方向を変えてしまう現象だ。その屈折の度合いは、屈折率で表わされる。図で入射角を、屈折角をとすると、
屈折率n=sin/sin
nは光の入射角に関係なく一定で、屈折側の媒質の、入射側の媒質に対する屈折率と呼ぶ。大陽光をプリズムに通すと紫、藍、青、緑、黄、橙、赤ときれいな7色の連統スペクルが見られるが、これはプリズムによってそれぞれの単色光の屈折の差がでてきたからだ。レンズの光学ガラスも、高屈折率のガラスと低屈折率のガラスというようにいろいろな種類がある。
2.分散
 プリズムの例のように、光がレンズやプリズムに入射したとき、その波長によって屈折率の違ってくる現象を光の分散または色分散という。単色光の波長は、紫(約400nm〔1nm=ナノメートル・l0億分の1メートル〕)から赤(約700nm)の範囲にあり、この波長の差で色を感じるわけだが、光学ガラスにも、高分散、低分散のガラスがある。また、青色光と赤色光の中間にあるさまざまな波長の光が屈折する割合を部分分散というが、通常の光学ガラ スによるレンズでは、この部分分散はある定まった傾向をもっている。しかし、低分散で部分分散の大きいガラス、高分散で部分分散の小さいガラスというようにその傾向からはみ出したガラスを異常 部分分散ガラスと呼んでいる。

3.反射
 屈折とは異なり、光がガラスのようなものに当ったその 境界面で新しい方向に進む現象だ。境界面の凹凸が光の波長に比べ滑らかなときは入射角と反射角は同じだが、凹凸が光の波長と同じくらいかそれ以上大きいときは、反射光はいろいろな方向に乱反射 してしまう。レンズの反射率をなるべく少なくして、有効光を多くするために、レンズの表面をコーティングすることが 大切になる。また、レンズだけでなく鏡筒の金属面で内面反射して画像にカブリがないように、反射防止塗料や植毛などの工夫がされている。
4.回折
 写真レンズは、絞りによってレンズを通過する光を調節するが、回折とは、絞りの孔の縁が光の通る 進行を妨げるために、光がその背面にまわりこんでしまう現象をいう。影響をうけた画像は、コントラスト、解像力の低下したシャープさのない像となってしまう。回折現象はレンズの絞り値を大きくすると現われる傾向をもち、その現われ方も絞り径だけの問題ではなく、光の波長、レンズの焦点距離、口径比によって 異なる。






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